アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱の対策を話し合う国連会合を取材した。

 有力国や国際機関が大型支援を発表する中で、温かい拍手に包まれたのは、アジアの小国、東ティモールが支援策を打ち出したときだった。

 オバマ米大統領世界保健機関のチャン事務局長らに続き、東ティモールのグスマオ首相が次のように支援を表明した。

 「脆弱(ぜいじゃく)な国家間の、南南協力として私たちは100万ドル(約1億800万円)を用意いたします」

 「少額であることは……」と演説を続けようとすると、会場から拍手が湧き起こり、5秒ほど中断。グスマオ氏は鳴りやむのを待って「世界の支援に比べれば、少額であることはわかっています」「シエラレオネリベリアギニアは、紛争の影響を受ける脆弱な20カ国で構成するグループの仲間たちです。私たちは連帯します」と読み上げた。

 東ティモールの人口はわずか113万人。国民1人当たり1ドルを出す計算だ。1人当たりの国民総所得は年3670ドルで日本の13分の1。どの演説が集めた拍手よりも温かかったと思う。(ニューヨーク=金成隆一